女性の健康
現代社会には女性特有の悩みが増えている
現代社会を生きる女性は、生涯の月経回数が昔と比べて大幅に増えています。かつては16歳ぐらいで初潮を迎え、その後の出産回数も6~10回をこなす女性が多かったため、生涯の月経回数で50~100回でした。
しかし、現代の女性は初潮が早くなり、初産までの期間や出産人数も変化したため、生涯の月経回数は450回程度まで増えています。生理回数の増加は、すなわち子宮内膜症や乳がん、卵巣癌などのリスクが上がることを意味します。このような背景から、現代女性には生理や女性ホルモンに関する悩みが増えています。
子宮と膣をケアする重要性
膣は「秘部」や「陰部」といった言葉がついているせいか、マイナスイメージが強いという方もいらっしゃいますが、自分の身体を理解することはとても大切です。妊娠できる力を蓄えるため、あるいは高齢になってからガンにかかるリスクも減らすためにも、月経や膣のケアは効果的と言われています。さらには自律神経の働きもスムーズになり、コラーゲンが産生されて美肌が保たれるなど、女性にとって嬉しい効果に繋がります。
外性器についてよくご相談を受けるのは、「ニオイやおりもの、かゆみが気になる」、「セックスが痛い」というお悩みです。そういうときには感染症を疑います。クラミジアや淋病は子宮や卵巣卵管にまで広がり、不妊症のリスクにもなる病気なのですが、コンドームでは完全に防ぎきれません。膣を守るためには定期的な検査が重要です。
「コロナ禍になって帯状疱疹が増えた」というニュースを聞いた方もいらっしゃるかと思いますが、婦人科では性器ヘルペスや尖圭コンジローマ、特に梅毒がものすごく増えています。これらは母子感染のリスクあるので、早期診断をして赤ちゃんやご自身を守ってあげてください。生理前に心身が不安定になるPMSについても、日本人の女性は我慢してしまいがちです。それこそ電車の中で倒れてしまう方もいるので、不安を感じたらすぐに婦人科で検診を受けてください。
膣の正しい洗い方
基本的に、膣内は洗わないことを推奨しています。においが気になって生理食塩水のビデで洗ってしまう方もいるのですが、膣自体の常在菌を洗い流してしまうと、逆に膣のトラブルに繋がります。ビデは「使用はしても常用はしない」という意識を持ってください。性行為の後や生理の終わりがけに少し使うのはOKですが、それ以外の時期にも毎日するのはよくありません。
一方で、膣の外側は垢や尿などがつきやすいので、しっかりと洗うことが大切です。できればボディーソープではなく専用の洗剤を使ってください。膣内に刺激が強すぎないように配慮されているためです。ただし、膣の外部がかゆい、におうなどのトラブルを抱えているときは、洗浄剤を使わずにお湯だけで洗ってください。膣が荒れている状態で洗浄剤を使うと悪化してしまうことがあります。
産後や閉経後の女性ホルモンが揺らぎやすい時期には、膣が乾燥しやすいため保湿剤を使いましょう。乾燥するとヘルペスやヒトパピローマウイルスなどが入ってくるリスクが高まります。
0コメント